ならしの動物医療センター

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report 症例報告

趾間せつ腫症

2026.08.25

趾間せつ腫症とは、足の指の間が赤く腫れ、血や膿が出たりする病気です。痛みを伴うことも多いため、足を舐めたり噛んだり、いつもとは違う歩き方になったりすることがあります。

このような症状が起こる原因には、皮膚深部の細菌感染が関係しています。慢性的な刺激や外傷により毛が皮膚の奥に押し込まれると、毛包が傷ついて炎症が起こります。そこに二次的に細菌が感染することで、趾間せつ腫症が発症することがあります。

また、皮膚炎による痒みから足を舐めたり噛んだりすること、肥満や足の形に問題があり指の間に負担がかかること、異物による刺激など、様々な要因が発症のきっかけとなります。他にも寄生虫やホルモンの病気、腫瘍などが関係している場合もあります。

趾間せつ腫症は、症状や身体検査から診断できることが多いです。しかし、その背景には上記のような様々な原因が考えられるため、必要に応じて皮膚検査、血液検査、細菌培養検査、薬剤感受性試験などを行います。特に、趾間せつ腫症では細菌感染が関与していることが多いため、どのような細菌が感染しているのか、また、どの抗菌薬が有効なのかを調べるために、細菌培養検査と薬剤感受性試験は重要になります。


ここからは、当院の皮膚科診療に来られたわんちゃんをご紹介します。
初めは前足の指の間に痒みを伴う皮膚炎がありました。その後、体重が増加し始めると指の間で出血が見られるようになりました。皮膚炎の悪化と考えシャンプーを頑張られていましたが悪化し、膿も出るようになりました。そこで診察に来られました。

皮膚検査を行うと、球菌、赤血球、好中球、マクロファージ、リンパ球が認められ、皮膚の細菌感染と炎症、出血していることがわかりました。また、歩いているところを見ると肘が外張っており、出血がある部分に体重がかかるような歩き方をしていることがわかりました。

症状の見た目、皮膚検査の結果、元々皮膚炎のような症状があり体重が増加した後に出血が見られるようになったこと、特定の部分に体重がかかる歩き方をしていることから趾間せつ腫症と診断されました。

細菌培養検査と薬剤感受性試験も行い、感染している細菌とそれに効く抗菌薬がわかったため飲み薬による治療を開始しました。また、シャンプーも継続していただいています。

出血したきっかけの一つとして、体重増加によって足にかかる負担が大きくなったことが考えられました。また、ご飯をダイエット用のものに変えたり、ご飯の量やおやつを控えたりしても体重が増加し、多飲多尿(たくさんお水を、飲みたくさんおしっこをする)の症状も見られるため、ホルモンの病気が隠れていないか検査を行う予定です。


趾間せつ腫症は、一度治っても繰り返してしまうことがあります。そのため、症状を抑えるだけでなく、なぜ繰り返し炎症が起こっているのか、その原因を見つけて治療することが大切です。

獣医師 楠