習志野動物医療センター りょう動物病院

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report 症例報告

皮膚糸状菌症 (皮膚真菌症)

2020.07.26

今回の症例は、皮膚糸状菌症の保護ネコです。

別の症状でご来院されましたが、脱毛と痂皮が体に認められ、検査をしたところ皮膚糸状菌症であることが分かりました。

 

皮膚糸状菌症は糸状菌と呼ばれる真菌が原因の伝染性感染症で、ネコの皮膚感染症としては比較的多い疾患です。

1歳未満で発症する事が多く、脱毛や裂毛が症状として見られます。一般的に痒みはないかほぼ軽度であることが多く強いかゆみを伴うことは稀です。

 

この症例も脱毛が認められました。

脱毛部位

 

 

 

 

 

また、皮膚糸状菌症は診断のためにウッド灯検査という特徴的な検査を行います。

この検査ではウッド灯と呼ばれるランプで病変部に光を照射します。皮膚糸状菌症の特定の種類はこの光に反応して明るいアップルグリーンまたは青緑色に発色します。

 

この症例もウッド灯検査を行ったところ病変部にわずかに生えた毛の根本に発光が認められました。

ウッド灯検査

 

 

 

 

 

また、ウッド灯で発光した毛を抜いて顕微鏡で確認すると毛の正常な構造が破壊されている様子や、糸状菌の胞子や菌糸が観察されます。

今回の症例も毛の正常な構造が破壊された毛の中に多数の胞子が確認されました。

正常な構造が破壊された毛。毛の中に胞子がびっしり詰まっています

 

 

 

 

 

 

 

皮膚糸状菌症は真菌が原因のため、治療には抗真菌薬の内服薬または外用薬を用いて治療を行います。

今回の症例は抗真菌薬の外用薬での治療を開始しました。

 

獣医師 後藤