ならしの動物医療センター

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report 症例報告

犬の歯根膿瘍

2026.05.26

本日は 犬の歯根膿瘍についてです。

歯根膿瘍とは、歯の根っこのまわりに細菌が入り込み、膿がたまってしまう病気です。
多くは、進行した歯周病や、硬いものを噛んで歯が欠けたり折れたりしたことがきっかけで起こります。放っておくと、歯のまわりの骨が溶けたり、膿が皮膚や鼻の中に抜けたりすることがあり、強い痛みを伴うことが多い病気です。

①ご家庭で気づきやサイン

次のような様子が見られたら、歯根膿瘍など歯のトラブルが隠れている可能性があります。

  • 片側のほほや目の下が急に腫れている
  • 腫れた部分の皮膚に穴があいて、膿や血が出てくる
  • 口臭が強くなった
  • 硬いフードやおやつを嫌がる、片側だけで噛んでいる
  • 口の周りや頭を触られるのを嫌がる
  • くしゃみや鼻水、片側だけの鼻水や鼻血が続く

特に「目の下だけがぷっくり腫れてきた」「皮膚から急に膿が出てきた」という場合、歯が原因のことが多いと報告されています。

②病院での検査と診断

まずはお口とお顔の状態をよく確認し、歯に問題がありそうかを確認します。その部分に腫瘍を発症したりするケースもありますが、レントゲン検査を撮影し、歯の根っこや周りの骨の状態を詳しく調べます。レントゲン検査で歯根膿瘍の可能性がたかいのかなど判断します。

③主な治療方法について

歯根膿瘍は、膿の元になっている歯をきちんと処置しないと再発しやすい病気です。

1.問題の歯を抜く治療(抜歯処置)
全身麻酔下で、原因となっている歯を抜き、膿や感染した組織をきれいに取り除きます。

もっとも一般的で再発しにくい方法です。

2.歯を残す治療(専門的な根管治療)
条件が合う場合に、歯の神経を取り除き、内部をきれいにして薬剤で封鎖する方法があります。対応可能な病院や専門医は限られます。

これらに加えて、抗生剤や痛み止めのお薬を使い、感染や痛みを和らげますが、お薬だけでは根本的な治療にはならないとされています。

高齢のわんちゃんや持病のある子では、血液検査などで全身状態を確認しながら、麻酔や手術のリスクと必要性を慎重にご相談して方針を決めていきます。

④予防と日ごろのケア

歯根膿瘍の多くは、歯周病が悪化しおこることがほとんどですが、硬いものを噛んだことによる歯の破折がきっかけになります。

ご家庭では次の点を意識していただくと予防につながります。

  • 歯みがきやデンタルグッズで、毎日少しずつ歯垢を落とす習慣をつける
  • 年に一度程度は、動物病院でお口のチェックや歯科検査を受ける
  • 骨や蹄など、極端に硬いおやつやおもちゃは避ける

顔の腫れ、突然の口臭悪化、食べ方の変化など、少しでも「いつもと違う」と感じたときは、早めにご相談いただくことが大切です。

 ←実際の歯根膿瘍のCT画像です。歯根の炎症により骨融解しています。

獣医師 田中