習志野動物医療センター りょう動物病院

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report 症例報告

環軸椎亜脱臼

2017.12.20

本日の症例は、環軸椎亜脱臼についてです。


背骨の頚椎のうち第一頚椎を環椎、第二頚椎を軸椎といいます。

通常、脊椎と脊椎は椎間板が間に挟まってクッションの役目を果たしていますが、
この2つの頸椎間には椎間板が存在しておらず、4つの靭帯によって支えられています。

生まれつき、あるいは外傷などによってこれらの靭帯の形成に異常が起こると
この2つの椎体が亜脱臼を起こし、脊髄が圧迫を受けます。

犬の環椎軸椎亜脱臼は大半が生まれつきの靭帯形成異常によるものであり、
半数以上が1歳未満に初期症状を示します。

患者の大多数がチワワ、ポメラニアン、ヨークシャーテリア、ダックスフント、
マルチーズ、パピヨンなどの小型犬種ですが、中型犬以上でも認められる事があります。

患者は頭部を動かすと激しい痛みを感じ、頭を触られることを嫌がります。
また、骨と骨が不安定なので些細な運動や衝撃で急激な症状の悪化がみられる事があります。
症状が進むと起立不能となり、四肢だけでなく呼吸をする筋肉に麻痺が出ると
呼吸困難になって生命に関わる事態となります。

症状が軽度であったり若い動物の場合には場合によって安静と首のコルセットを数週間装着する事で
症状に改善が見られる事がありますが、ちょっとした運動などで再発あるいは悪化する事が懸念されます。

一般的には手術によってこの2つの頸椎を固定する方法が最も有効な治療方法だと考えられています。

亜脱臼