猫の肥満細胞腫(消化器)
2025.04.29
今回の症例は小腸に発生した猫の肥満細胞腫の症例です。
元々はくしゃみや鼻水などの鼻炎症状にあわせて、鼻出血の症状を認め紹介されて来院されました。
当院で鼻炎や鼻出血の原因精査を実施。
血液検査やレントゲン検査、腹部超音波検査、全身CT検査を行い、CT画像で右鼻腔内に占拠性病変を認めた為、同時に鼻腔内生検および重度の歯肉炎も認めたので歯石除去を実施いたしました。
←鼻腔内の病変CT画像
抗菌剤を併用しながら経過をみておりましたが、徐々に症状は改善。食欲元気などの一般状態は問題なし。
鼻腔内生検の検査結果は慢性の炎症との診断。CT所見も含めて考えると歯からの影響も考慮されました。
しかし、鼻炎の原因精査を実施した際、空腸の一部の筋層が腫大している部分を認めた為、FNA検査を実施致しました。
←黄色で囲っているところが腸の病変
FNA検査では肥満細胞腫を疑う悪性腫瘍の可能性と診断。
食欲元気は問題なく、消化器症状も認めない為、今回偶発的に見つかった病変になります。
飼い主様とご相談の上、腸病変の摘出手術(切除生検)を実施することになりました。
←手術時の写真(腸の病変)
←摘出した腸の病変
術後の経過も良好。腸病変の病理検査結果は肥満細胞腫でした。
獣医師 田中