習志野動物医療センター りょう動物病院

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report 症例報告

胆泥症

2017.12.23

本日の症例は健康診断の再検査に来たワンちゃんです。

健康診断でも、再検査でも、肝臓の数値が高かったためレントゲン検査と超音波検査を行いました。

レントゲン検査では特に異常は見つかりませんでしたが、超音波検査で胆泥症であることがわかりました。


IMG_2559


GBが胆嚢でLIVERが肝臓です。
胆嚢は黒く抜けて見えるはずですが、白くなっている部分が見られます。
これが胆泥です。


胆嚢は、肝臓から分泌される胆汁
(食物の消化を助ける働きをする液体)を濃縮し、貯蔵する袋状の臓器です。

胆嚢は胆管によって十二指腸とつながり、食物が腸に入ると胆汁を分泌します。


胆泥症とは、何らかの原因で、本来はサラサラした液体の胆汁が、泥状になる病気です。


症状がないことも多いですが、胆汁がさらに粘稠度を増し(粘液嚢腫)、
胆汁が胆管に詰まると(胆管閉塞)、胆嚢破裂など重篤な症状を示し、命に関わる場合もあります。


胆嚢炎、胆嚢の細菌感染、中性脂肪やコレステロールの過剰、
ホルモンの病気(甲状腺機能低下症、糖尿病など)、膵炎、肝機能異常などの合併症として多く見られます。


一般に無症状なことが多く、今回のように超音波検査で偶然見つかることが多いようです。
重症度は様々で、生涯症状を示さない場合も比較的多くあります。


しかし、胆嚢粘液嚢腫などの場合には、突然重い症状を示すこともあり、
胆管閉塞や胆嚢破裂を発症し、元気消失、嘔吐、下痢、黄疸、腹痛、発熱などの症状をおこし、
腹膜炎、低血圧、ショックなどから、命に関わることも少なくありません。


食事や運動などの食生活の改善や、内服薬の投与により治療を行います。
原因となる病気がある場合には、その治療も行います。胆嚢破裂の治療や予防のため、
胆嚢摘出の手術を行う場合もあります。しかし、無症状の例も数多くあるため、
個々の状態に応じて治療法を選択する必要があります。

今回の症例は食事を消化器に優しいフードに変え、胆汁をサラサラにするような薬を飲み始めました。
今後は定期的な検査を行う予定です。