習志野動物医療センター りょう動物病院

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report 症例報告

消化管間質腫瘍(GIST)

2021.04.16

消化管間質細胞腫瘍gastrointestinal stromal cell tumor(GIST)は胃や腸など消化管の壁の筋肉層に発生する腫瘍です。

犬では最近になって分類された腫瘍でまだ報告数が比較的少ない症例になります。
一般にGISTは転移しにくい腫瘍といわれ完全に摘出できれば完治が期待できますが、巨大化して腫瘍表面が割れてしまうと腹腔内出血を起こしたり、癒着により摘出困難になることもあります。また、発見が遅れると肝臓や周囲のリンパ節に腫瘍細胞が転移・浸潤する可能性が高くなります。

一般的にGISTは消化管出血も起こしやすく、最初は「元気や食欲がなく、便が黒い」などの症状から貧血を認め、

原因を探索する際に、超音波検査で腫瘤が初めて認められることもあります。

この症例ではふらつきと食欲不振を主訴に来院され、貧血と黒色便を認めました。

精査したところ小腸の一部に腫瘍ができ、消化管出血を引き起こし、出血性貧血を起こしていると判断しました。

この症例では腫瘤は小さい腫瘤でしたが、重度の貧血を呈していたことから、輸血ののち切除手術を行いました。


 

 

 

 

術後、速やかに貧血は改善、退院し、現在はとても食欲が出て元気に過ごしているとの事です。

念のため、GISTに効果が期待できる分子標的治療薬(内服薬の抗腫瘍薬)を継続し、経過観察を行っております。

 

獣医師 古田