習志野動物医療センター りょう動物病院

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report 症例報告

歯尖膿瘍

2017.12.22

月に何度か、治療のために歯石除去と抜歯を行うことがあります。
その対象となる病気は歯槽膿瘍、根尖周囲膿瘍という病気です。簡単に言えば、歯周病です。

歯の根(根尖部)やその周辺に化膿性炎症がおきることによって膿の袋(膿瘍)が形成されます。
中高齢のワンちゃんに多い病気です。

原因は外傷などで歯が折れたり(破折)、硬い物と歯がこすれることによる磨耗により、歯髄が露出します。
この歯髄へ細菌の感染が起こり、根尖部に膿瘍が形成されます。
また、歯髄の露出がなくても歯石沈着などの歯周病の悪化により膿瘍ができる場合もあります。


罹患した歯の位置にもよりますが、症状は目の下(ほっぺ)腫れる、ドライフードを食べづらそう、
食欲がおちる、 口をくちゃくちゃ気にしているなどの症状が多いです。


時には鼻腔に達し、鼻水やくしゃみ、鼻出血などをおこすこともあります(特にM・ダックスに多い) 。

この場合の鼻炎症状は抗生物質に反応するも、ほとんどの場合再発します。
治療は抜歯および抗生物質の投与になります。

診断はレントゲンや血液検査などを行い、最終的にCTや時に組織生検で他の病気を除外し、確定します。

以下が歯尖膿瘍の症例のCTです(3D構成しています)

歯尖膿瘍

緑矢印の所は犬歯が歯周病により周囲の歯槽骨が溶けて、その先の鼻腔に達していたため、
鼻水・くしゃみを起こしていました。


青矢印の所は奥歯の歯周病により頭蓋骨が溶かされ、右の頬に炎症が波及し、
顔が腫れる、という症状を起こした過去があります。


 CTによりその原因を特定し、今回抜歯と併せて歯石除去を行いました。