ならしの動物医療センター

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report 症例報告

目を気にして痛そうにする

2026.06.27

今回は、最近当院で実際にあった「植物の異物がワンちゃんの目に入ってしまった症例」についてご報告と、大切な注意喚起をさせていただきます。

ワンちゃんが朝から目をずっと手でこすり気にして、眼を痛そうにしょぼしょぼしているとの主訴で来院されました。

診てみると、左眼の周りがかなり腫れて目を触ろうとすると痛がり嫌がりました。

診察すると瞼の裏側に何かが入っておりました。どうにかその異物を取ってみると植物のノギが入っておりました。

結膜で軽度内出血をしており、眼の表面にも傷がついておりました。


お散歩が大好きなワンちゃんたちにとって、草むらの探検はとても楽しい時間ですが、実はそこには「ノギ」という恐ろしい危険が潜んでいます。


「ノギ」とは?

ノギ(芒)とは、イネ科の雑草(ムギなど)の穂の先にある、細長く尖ったヒゲ状の突起のことです。
道端や公園、河川敷など、どこにでも生えているごく一般的な雑草の種ですが、実は動物たちにとって非常に厄介な「天然の釣り針」のような構造をしています。


今回の症例と「ノギ」の怖さ

ノギの表面には細かな逆トゲ(返し)がついているため、以下のような恐ろしい特徴があります。

  • 一度刺さると奥へ奥へと進む:まばたきをするたびに、逆トゲのせいでさらに皮膚や粘膜の奥深くへと潜り込んでしまいます。自然に抜け落ちることはまずありません。

  • 激しい痛みと角膜の損傷:目の中でトゲが擦れるため、ワンちゃんは激しい痛みを伴います。そのまま放置すると、眼球(角膜)に深い傷がつき、最悪の場合は失明や眼球破裂に至るリスクもあります。

  • 処置に麻酔が必要なことも:非常に痛がるため、目をしっかり触らせてくれないケースが多く、安全に摘出するために点眼麻酔や、場合によっては全身麻酔をかけて処置を行う必要があります。


こんな症状が見られたら、すぐに病院へ!

お散歩の後、愛犬に以下のようなサインが見られたら、目の中にノギなどの異物が入っている可能性があります。

  • 片目を細めている、完全に閉じている

  • 前足でしきりに目をこすろうとする、地面に顔をこすりつける

  • 涙や目やにが大量に出ている

  • 白目が急激に真っ赤に充血している、まぶたが腫れている

【飼い主様へのお願い】
目の中の異物を無理に指やピンセットで取ろうとすると、異物をさらに奥へ押し込んだり、眼球を傷つけたりして大変危険です。絶対に触らず、すぐに当院までご連絡ください。予防のためにできること

  • 緑が生い茂る草むら(特にイネ科の雑草がある場所)には近づけない

  • お散歩の後は、顔周り、耳の中、肉球の間(指の間)にトゲや種がついていないか必ずチェックする

ノギは目だけでなく、耳の穴に侵入して鼓膜を傷つけたり、肉球の間に刺さって皮膚の下を移動し化膿させたりすることもあります。
これからの季節、草むらでのお散歩には十分注意し、愛犬の様子に少しでも異変を感じたら、迷わずすぐに診察にお越しください。

獣医師 田中