興奮しても増える白血球数
ワンちゃんのネコちゃんの血液検査の結果を見たときに、「白血球の数値が高いですね」「興奮して一時的に上がっているだけかもしれません」などと獣医師から説明を受けたことはありませんか?
実は、ワンちゃんやネコちゃんの体の中では、白血球たちが驚くほどダイナミックに動き回っています。
今回は「白血球」について解説します。
白血球の寿命は「超ショートラン」
私たち人間の白血球もそうですが、ワンちゃんやネコちゃんの白血球(特にバイキンと戦う主力部隊の好中球)は、実は血管の中に半日(10〜15時間)くらいしかいません。
血管の中を流れたあとは、すぐに体の中のパトロール(組織への移動)に向かい、そこで役目を終えます。
血液検査で見ている白血球の数値は、あくまで「採血したその瞬間、血管を流れていた数」に過ぎないのです。
—
血管の壁を転がっている白血球
白血球の主力部隊は、みんなが血管の中をビュンビュン流れているわけではありません。実は、血管の壁をコロコロ転がって待機しているグループがいます。
ワンちゃん: 流れている好中球(循環プール)と、壁に張り付いている好中球(辺縁プール)が 半々(1:1)。
ネコちゃん:循環プールの3倍の好中球が辺縁プールで待機しています(1:3)。
採血で大興奮すると数値がハネ上がる理由
ワンちゃんよりもネコちゃんに多いのですが病院で怖がったり大興奮したりするとアドレナリンというホルモンがドバッと出ます。
すると、血管の壁に張り付いていた白血球たちが一斉に血流に剥がれ落ちます。
病気でもないのに、興奮しただけで白血球の数値がいつもの2〜3倍に跳ね上がることがあるのは、この「壁から剥がれた白血球」が採血の針にたくさん入ってくるからです。
—
体の中にある「白血球の倉庫」
「血管の中の白血球が半日でいなくなるなら、強い炎症が起きたらすぐに足りなくなるのでは?」と思うのではないでしょうか。
そこはうまくできていて、体の中には巨大なバックアップ倉庫が用意されています。
骨髄: 2〜5日分の「好中球」をストック
骨の中にある骨髄は、白血球の製造工場であり、巨大な倉庫です。ここには、血管を流れている数の 5〜10倍もの若い白血球が待機しています。
体の中で激しい炎症(強い感染症や膵炎など)が起きると、一斉に若い白血球たちが血管内へと送り出されます。
脾臓: 興奮したときにすぐ飛び出す「リンパ球」
お腹の中にある脾臓という臓器は、ウイルスなどと戦うリンパ球という白血球の倉庫です。脾臓とリンパ節に体全体のリンパ球の1/4~1/3が集まっています。
動物が興奮すると脾臓がギューッと縮んで中にあったリンパ球を血液中にドバッと押し出します。
—
まとめ
白血球は血管の中に半日くらいしかいない超短命な細胞。
骨髄や脾臓という強力な倉庫があるから、ピンチの時もすぐに戦える。
病院で興奮するだけで数値が何倍にもなることがある(特にネコちゃん)。
血液検査の数値が高くても、それが「体に炎症(病気)があるサイン」なのか、それとも興奮による一時的なものなのかは他の検査や症状を見て慎重に判断しています。
必要であれば追加の検査を提案させていただきます。
—
検査の結果で気になる事があれば何でもお尋ねください。
獣医師 髙橋
