見守りカメラで見つけました
「ペットシーツと、それを固定していたガムテープを食べてしまったようです」
ワンちゃんのお家からお電話です。
来院時の状況と経緯
2歳の中型のワンちゃんでした。
お出かけ先から見守りカメラでイタズラしているとこを目撃したそうです。
半日後帰宅するとペットシーツの一部がなくその部分を張り付けていたガムテープも見当たらないとか。。。
来院時、ワンちゃんは元気はあり幸いにもまだ嘔吐や腹痛などの臨床症状は出ていませんでした。
治療(催吐処置)
誤飲から半日経過していましたがレントゲン検査で異物が胃内にとどまっている可能性が高いと考えました。
飼い主様とご相談の上、お薬を使って強制的に吐き出させる「催吐処置(さいとしょち)」を選択しました。
処置の経過
事前検査:脱水の有無や身体検査を行い、処置に耐えられる状態かを確認します。
催吐薬の投与:静脈内注射により催吐薬を投与。
嘔吐の誘発:投与から数分後、速やかに胃内の内容物を吐き出しました。
吐き出された異物
吐物を確認したところ、水分(胃液)を吸って膨らんだペットシーツの塊と、ガムテープが出てきました。
異物が十二指腸や小腸へと流れてしまっていた場合、催吐処置では回収できず、最悪の場合は「腸閉塞(ちょうへいそく)」を引き起こします。
そうなると緊急開腹手術が必要になります。
処置後は胃粘膜を保護するお薬を処方し経過観察とします。
なぜ「ペットシーツ」と「ガムテープ」の誤飲は危険なのか?
動物病院の視点から、この2つの組み合わせが特に危険である理由を解説します。
ペットシーツ(高吸水性ポリマー)の危険性
シーツの内部には、おしっこを固めるためのポリマーが含まれています。これが胃液などの水分を吸うと、お腹の中で急激に膨張します。
自力で吐き出すことが極めて困難になり、消化管を物理的に圧迫・閉塞させます。
ガムテープ(粘着剤と布・紙)の危険性
ガムテープの粘着面は、胃や腸の粘膜にペタッと張り付いてしまうことがあります。
また、今回のようにちぎれたペットシーツなど、他の異物を巻き込んで巨大な「異物の塊」を形成する芯になってしまうため、非常に厄介です。
あるいいは大量に摂取した場合は接着剤の成分から中毒の危険性もあります。
飼い主様へ:もし誤飲に気づいたら
万が一、愛犬が異物を食べてしまった(または食べた疑いがある)場合は、以下の点にご注意ください。
ネットの情報(塩やオキシドールを飲ませる)を試さないでください
自宅で無理に吐かせようとすると、胃粘膜の重度な潰瘍や、食道への逆流による誤嚥性(ごえんせい)肺炎など、別の命に関わるリスクを引き起こします。必ず病院へお任せください。
「何を」「いつ」「どのくらい」食べたかの情報が重要です
残っている破片や、同じ製品(サイズ感がわかるもの)があれば、ご来院の際にご持参いただくと、処置の判断(吐き出し切れたかどうかの目安)に大変役立ちます。
レントゲン検査で胃腸内にあるかどうかを判定するヒントにもなります。
時間が勝負です
催吐処置が適応となるのは、一般的に誤飲から2〜3時間以内(胃の中にまだある時間)です。
様子を見ずに、まずはすぐにお電話ください。
でも今回のワンちゃんのように半日後も胃内に異物が留まっていることも珍しくはありません。
多少遅くなっても診察を受けてください。
予防のために
「まさかこんなものまで……」を食べてしまうのがワンちゃんです。 何かお困りのことや、これ食べてしまったかも?という不安があれば、いつでもお気軽に当院までご相談ください。
獣医師 髙橋
