ならしの動物医療センター

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report 症例報告

犬 鼻腔内腺癌②

2026.02.25

前回からの続きです。
本症例は1カ月前から鼻づまりとくしゃみ、そして左鼻からの鼻出血が認められたため、かかりつけ病院を受診されました。細菌感染による鼻炎を最初に疑い抗菌薬が処方されましたが、鼻づまりが続いたため、鼻腔内腫瘍を疑い当院に紹介来院されました。
精査のため造影CT検査および鼻腔内腫瘤の生検を実施したところ、造影CT検査により肺への転移は認められませんでしたが、一部の鼻甲介の破壊、後鼻腔の液体貯留、左下顎リンパ節の腫脹を認めました。そのため細菌および真菌の培養検査と左下顎リンパ節の細胞診検査を実施しました。
生検により鼻腔内腺癌と診断され、細胞診検査では転移の可能性が疑われました。また培養検査では細菌が認められたため抗菌薬による治療を行いました。
鼻腔内腺癌に対して外科手術と組み合わせた放射線照射を行い、左下顎リンパ節以外への転移している可能性を考え血管新生抑制を目的とした抗炎症薬を使用することになりました。
当院では外科手術として超音波を用いて腫瘍を破壊除去する乳化吸引処置を行っています。
乳化吸引処置とは超音波を用いて構造物を乳化し吸い取ることで除去を行います。

この写真は鼻から超音波の機械を入れて腫瘍を破砕および吸引しているところです。
また放射線照射は乳化吸引処置で除去できない腫瘍に対する治療を目的とし、週に2回、計8回行い、8回目の放射線治療のあと転移の確認のために造影CT検査を実施しました。造影CT検査において転移所見はなく、鼻腔内の腫瘤の消失を認めました。
放射線治療終了後2週間ほどで副作用である鼻梁の潰瘍および脱毛を認めました。

今後も定期的に再発がないか確認しながら治療を続けていきます。

獣医師 團野