習志野動物医療センター りょう動物病院

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report 症例報告

急性膵炎

2017.12.21

急性膵炎は、膵臓が自ら作り出す膵液(消化液)によって消化されて、急性炎症を起こす病気です。
強い腹痛を伴い、犬は背を丸めてお腹を抱えるような姿勢をとったりします。

同時に頻回の嘔吐や下痢や腹鳴などの症状を伴うことが多いです。
その他、食欲不振や元気消沈、発熱、脱水などもよくある症状として挙げられます。


重症の場合には、呼吸困難やショック症状を示すことがあり、命に関わることもあります。
慢性膵炎の場合、程度は軽いものの、急性膵炎とよく似た症状を断続的に起こします。

犬種ではミニチュア・プードル、ミニチュア・シュナウザー、コッカー・スパニエル、
ウェスティ(ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア)などに発症率が高いといわれています。


原因は、犬種・食生活・ホルモン代謝異常・胃腸炎からの続発、薬物投与、外傷や手術など様々です。
基礎疾患がある場合はその治療も同時に行っていきます。


症状から膵炎を疑い、血液検査と超音波検査にて診断します。
LIPーPSが本来160までのところ、1000以上になっています。

CRPという炎症マーカーも上昇することが多いですが、検査のタイミングによっては以下の写真のように
0.3以下で炎症反応が検出されないこともあります。


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膵炎の治療は内科的治療が主で、輸液療法とともに制吐剤や鎮痛剤、抗生剤などの投与を行います。

同時に膵臓の酵素の活性化を抑えるため、蛋白分解酵素阻害剤(消化酵素を阻害する薬のこと)の投与および
短期間の絶食後に症状が改善した場合栄養補給などを行います。

また、ショックやDICなどの危険な合併症が生じた際にはそれに応じた処置がとられます。