習志野動物医療センター りょう動物病院

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report 症例報告

貧血

2017.12.20

最近貧血のわんちゃんの来院が多いような気がしますので本日は貧血についてです。
貧血(ひんけつ)とは血液が薄くなった状態です。
医学的には、血液中の酸素を運搬する成分ヘモグロビン(Hb)濃度、
赤血球数、赤血球容積率(Hct)が減少し基準値未満になった状態の事です。

結果、身体は酸欠状態になるので、疲れやすい・だるい・めまい・ふらつき等の症状からはじまり
呼吸困難、チアノーゼ、重症例では致死的となります。

原因は様々で、出血などによって喪失しているタイプ、骨髄の機能低下により産生しないタイプ、
自己抗原や寄生虫により破壊されるタイプ、腎臓病により造血ホルモンが減少するタイプ、
中毒(特にたまねぎ)、腫瘍、栄養不足などなど・・・

その原因は血液検査や画像検査など様々な検査に加え、免疫学的な検査や寄生虫の検査等を行いますが、
その一助となるのが顕微鏡で血液をみる検査です。

P5210933

一滴分の血液をガラスの上に薄く延ばし↑
顕微鏡でみます↓

P5210934

この写真の症例は溶血を示唆する所見と赤血球を再生している所見が認められ、
その他の血液検査や画像検査・特殊検査を組み合わせることで自己免疫性溶血性貧血と診断しました。

免疫を抑える治療を行い、15%程しかなかった血液の濃さは現在31%まで回復しています。

こういった検査によりある程度の方向性を見定め、他の検査結果と総合して診断を進めていきます。