ならしの動物医療センター

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report 症例報告

胆泥症

2025.04.30

本日は胆泥症についてです。
胆汁液を貯留する胆嚢は、肝臓から分泌される胆汁 (食物の消化を助ける働きをする液体)を濃縮し、貯蔵する袋状の臓器です。 胆嚢は総胆管によって十二指腸と接続し、食物が腸に入ると胆汁を分泌します。
胆泥症とは、何らかの原因で、本来はサラサラした液体の胆汁が、泥状または粘液状になる病気です。
一般に無症状なことが多く、今超音波検査で偶然見つかることが多いようですが、
胆汁がさらに粘稠度を増し(粘液嚢腫)、胆汁が胆管に詰まると肝外胆管閉塞となり、
胆嚢破裂など重篤な症状(元気消失、嘔吐、下痢、黄疸、腹痛、発熱)、腹膜炎、ショックなどから、命に関わる場合もあります。

←胆泥の進行状態のエコー画像です。

 

悪化要因としては胆嚢炎、胆嚢の細菌感染、中性脂肪やコレステロールの過剰、 内分泌疾患(甲状腺機能低下症、クッシング症候など)、肝機能異常などがあげられます。

対処としては食事や運動などの食生活の改善や、利胆剤の投与により治療を行います。 基礎疾患がある場合には、その治療も行います。胆嚢破裂の治療や予防のため、 胆嚢摘出の手術を行う場合もありますが、無症状の例も数多くあるため、個々の状態に応じて治療法を選択する必要があります。

なかなか外見では分からない疾患のため、「持続的に肝臓の数値が高い」場合は一度超音波検査をお勧めします。

獣医師 古田