ならしの動物医療センター

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report 症例報告

糖尿病性ケトアシドーシス

2025.09.29

現在、糖尿病でインスリン治療中のわんちゃんが入院中です。
糖尿病は、ホルモンの一種であるインスリンの働きが悪くなるもしくは膵臓からの分泌が少なくなる病気です。
インスリンは膵臓から分泌されており、食べて吸収した血液中の糖を細胞内に取り入れる働きを持っています。
この機能が失われるもしくは低下すると血液中の糖分が
細胞内に取り入れられず「食べているのに栄養が細胞まで届かない」状態になります。
肥満であったり食生活の関与や膵炎・ホルモン疾患疾患を併発している例もあり要因は多様です。

これらが進行すると…
■食べても食べても痩せていく・毛並みが悪くなる
■血糖値が高い状態が続くことでよく水を飲みよく尿をする(多飲多尿)
■脱水して食欲が低下する(進行してきている場合)
■感染症に弱くなる・傷の治りが悪い
■高血糖による腎臓への負担が蓄積し、腎不全になる
■白内障になる
など、合併症は多岐にわたります。

さらにこの状態が続くと…
食べて吸収した栄養が細胞に届かない事で細胞は飢餓状態になります。
すると「蓄えておいた脂肪を分解・燃焼しエネルギーに変換します。(貯金を切り崩している状態)
脂肪の分解が多くなると分解によってケトン体というものがおまけ(ゴミ)として産生されます。

このケトン体が強い酸性物質でとても有害となります。
体に蓄積することで体が酸性になり「ケトアシドーシス」という致死的な病態へ
進行してしまいます。アシドーシスとは酸性状態を意味する言葉です。

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血糖値をこまめに測定し適切なインスリン量の調整をします。
現在は体表に埋め込む血糖値センサーがあり、自宅でも容易に血糖値が測定できるようになりました。
(人間の糖尿病で使用する機器を使用しています)

獣医師 古田