習志野動物医療センター りょう動物病院

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report 症例報告

異物

2017.12.20

前日の朝から何度も吐いています。
今日は水を飲んでも吐いてしまいます。

2歳のララドールの男の子です。

元気がありません。
お腹の触診を嫌がります。
優しく触って見ると腸管が少し硬く感じます。

血液検査で炎症のマーカー(CRP)の上昇が認められました。

腹部超音波検査にて広範囲の小腸で高エコー性の管腔と襞状の粘膜が認められました。

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異物による消化管閉塞(イレウス)が疑われる時には
バリウム等による消化管造影検査を行うこともあるのですが
嘔吐から来る脱水が強く、元気も無くなっていたために
点滴で脱水を改善した後にCT検査、開腹手術のプランを立てました。

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CT検査においても小腸全域にアコーディオン状陰影が認められ
紐状異物による消化管閉塞が強く疑われたため
試験開腹となりました。


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小腸がシャツの袖をたくし上げたようになっています。
この部分が超音波検査での襞状の腸壁として
CT検査でのアコーディオン状陰影として見られた部分になります。

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胃を触って見ると胃内にも異物が触知されました。


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胃の内容物が腹腔内に漏れないように注意しながら胃を切開すると
布状の異物が見つかりました。

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引き上げてみると十二指腸まで続いていました。
そのまま引き抜くと腸管粘膜を傷つける恐れがあるので
切断して胃の切開部分を閉じます。

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残りの異物は腸壁を切開して取り出します。



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腸壁を縫合した後は漏れがないか生理食塩水を注入して確認します。


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異物はストッキングでした。

しばらく絶食絶水をした後
お粥状の食餌から再開です。