習志野動物医療センター りょう動物病院

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report 症例報告

猫疥癬

2020.07.12

今回の症例は推定3か月の保護ネコです。

耳介の付け根、脇、後肢に脱毛や痂皮が認められ来院しました。

皮膚表面を少し削り取って顕微鏡で確認したところ、猫疥癬虫(ネコショウコウヒゼンダニ)が確認されました。

 

猫疥癬は猫疥癬虫(ネコショウコウヒゼンダニ)が原因となって起こる疾患です。

この疾患では、強いかゆみや乾燥、痂皮病変が特徴的な症状です。

最初に耳に症状が現れ、その後頭部や頸部、肢などに広がっていくことが多く、感染した皮膚は肥厚し、脱毛や痂皮の形成、皮膚剥離などがみられます。

猫疥癬虫は感染力が高く、多頭飼育では通常2頭以上のネコで感染が見られることが多いといわれています。

 

疥癬虫は皮膚の表面に穴を掘って潜伏し、皮膚の角質層に疥癬トンネルと呼ばれるトンネルを掘ってそのトンネル内に産卵します。

ヒトでも動物疥癬虫によって皮膚の柔らかいところに紅色の小丘疹が形成され強い痒みを伴うことがありますが、動物の疥癬虫はヒトの皮膚では疥癬トンネルを作り繁殖をすることはありません。

 

猫疥癬の治療は、駆虫薬による猫疥癬虫の駆除です。

この際多頭飼育の場合は、感染している可能性があるため同居している全ての動物を同時に治療します。

 

今回の症例も同居ネコ2頭の同時感染が確認され、2頭とも同時に治療を行っています。

楕円形の物が虫卵、その周囲の黒い粒状の物が糞です

 

 

真ん中に猫疥癬虫がいます

 

 

 

 

 

 

獣医師 後藤