局所麻酔薬を用いた末梢神経ブロック
2026.01.28
本日は局所麻酔薬を用いた神経ブロックについてです。
局所麻酔薬を使った神経ブロックは、強力な鎮痛作用を示すことにより、全身麻酔薬やオピオイドを減量できるという大きなメリットがあります。全身麻酔薬やオピオイドを減量することにより術後の悪心、嘔吐や呼吸抑制、過鎮静などを軽減するのに大きく貢献でき、低血圧などの循環への影響が少ないとされています。
〇犬の局所麻酔薬を用いた末梢神経ブロックの概要
◉目的
犬の末梢神経ブロックは、以下のような目的で行われます。
- 術中の鎮痛(全身麻酔薬の必要量を減らす)
- 術後疼痛の軽減
- ストレス反応の抑制
- 回復の促進
全身麻酔だけに頼らず、局所麻酔を組み合わせる「マルチモーダル鎮痛」の一環として非常に重要です。
◉よく行われる末梢神経ブロックの種類
● 上肢・前肢の手術で使われるブロック
- 腕神経叢ブロック(Brachial plexus block)
- 尺骨・橈骨・正中神経ブロック
● 下肢・後肢の手術で使われるブロック
- 坐骨神経ブロック
- 大腿神経ブロック
● 体幹部
- 肋間神経ブロック
- 腹横筋膜面ブロック
● 口腔・歯科領域
- 下顎孔ブロック
- 上顎神経ブロック
◎ メリット
- 全身麻酔薬の量を減らせる
- 術後の痛みが大幅に軽減
- 回復が早くなる
- 高齢犬や心疾患のある犬でも比較的安全に使える
▲ 注意点
- 局所麻酔薬中毒(まれだが注意が必要)
- 神経損傷のリスク(超音波ガイドで大幅に低減)
- 血管内注入の危険性
- 過量投与のリスク
これらはすべて獣医師が管理し、安全性を確保しながら実施します。
これは実際眼窩下神経ブロックを行っている写真になります。
眼窩下孔を触知で確認して穿刺。針を眼窩下管内に数mm刺入し、局所麻酔薬を注入しております。

獣医師 田中
