習志野動物医療センター りょう動物病院

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report 症例報告

子宮粘液症

2017.12.20

本日はわんちゃんの子宮粘液症(子宮水腫)の手術がありました。
子宮水腫とは未避妊の高齢のメスのわんちゃんに多い疾患で、
子宮腺の過形成によって粘液の分泌が多くなり子宮内に粘液が貯留した状態です。
この時点で外陰部からわずかなオリモノが見られる事もあります。(この段階は子宮蓄膿症の前段階です。)

さらにここから子宮内膜の増殖から内膜炎が起こると細菌の増殖も重なり溜まっていた
粘液が膿に変化し子宮蓄膿症という状態に発展します。

ひどい時には子宮は膿で風船のように膨らみ、万が一破裂すると
細菌性腹膜炎という致死的な状態になります。

破裂せずとも膿を体内に抱えこんでしまった状態になるので、敗血症や腎不全をはじめとした多臓器不全、
DICなどの重篤な合併症も重なってきます。

子宮蓄膿症は治療が遅れるとほとんどの場合死に至る疾患です。 

本日のわんちゃんは一般状態は良好でしたが生理後の超音波にて子宮内に液体貯留が見つかり、
各種検査を併せて子宮水腫と仮診断、蓄膿症へと発展する前に手術を行いました。

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仮診体には細菌や膿の成分は見当たらないため、子宮水腫と最終診断しました。
手術後6時間程ですが元気にしっぽをふっています。

若い時に避妊手術を行えば防止出来る病気でもありますが、
現在避妊を行っていない中高齢のわんちゃんは生理後特に注意が必要です。