習志野動物医療センター りょう動物病院

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report 症例報告

僧帽弁閉鎖不全症

2020.05.09

今回の症例は、10歳9か月のトイプードルです。

僧帽弁閉鎖不全症はイヌの心臓病で最も多い疾患で、小型犬に多くみられ、年齢の増加に伴って発生率が増加します。

この疾患では、左心房から左心室に流れた血液の逆流を防いでいる僧帽弁という弁がきちんと閉まらなくなることが原因で、血液の逆流が発生します。

基本的には最初は症状を全く伴わない軽度の逆流から始まり、数カ月から数年でゆっくりと病気が進行します。

逆流の量が多くなって来ると左心房の拡大が生じて気道を圧迫する事で発咳が生じたり、逆流量の分全身に送り出す血液量が減少してしまう事によって散歩時に疲れやすくなったりする症状が見られます。さらに病気が進行すると失神を起こしたりする症例もいます。

この疾患の治療は主に薬の服用によって病気の進行を遅らせることが主な治療となるため早期発見ができるとその分だけ早い段階から病気の進行を抑えることが出来ます。

僧帽弁閉鎖不全症で生じる血液の逆流は、聴診器を当てて診察を行うことで心雑音として発見ができるため、健康診断などで発見されることも多くあります。

 

 

 

 

 

 

獣医師 後藤