犬の血小板減少症
【血小板減少症】
今回は、健康診断で偶然、血小板減少症が見つかった症例です。
血小板は、出血した際に血を固める働きを持つ血液中の成分です。
この血小板が減少した状態を「血小板減少症」といいます。
【症状】
本症例は元気・食欲ともに良好で、一般状態にも異常は認められませんでした。
血小板減少症で一般的に見られる症状(皮膚や粘膜の点状出血や紫斑(あざ)、鼻出血、血尿、血便、黒色便[メレナ]など)は認められませんでした。
【検査】
血液検査、胸腹部レントゲン検査、腹部超音波検査、感染症PCR検査を行いましたが、血小板減少に直接関連する所見は認められませんでした。
数日後、ヒト免疫グロブリン製剤や造血ホルモン製剤により血小板数の増加を確認したうえで、心臓超音波検査、CT検査、内視鏡検査、骨髄穿刺を実施しました。
しかし、これらの検査においても血小板減少に直接関連する所見は認められませんでした。
【診断】
感染症や腫瘍など、血小板減少を引き起こす基礎疾患は認められませんでした。
また、骨髄では過形成といって血小板のもとになる細胞が多数認められたことから、最終的に除外診断により「原発性免疫介在性血小板減少症」と診断しました。
【治療】
ステロイド製剤を1日1回内服し、定期的な血液検査で血小板数を確認しながら用量を調節しています。
症例によりその他の免疫抑制剤を併用することもあります。
免疫介在性血小板減少症は、一度改善しても約30%の症例で再発するとされています。血小板が少ない状態を放置すると重篤な出血により命に関わる可能性もあるため、定期的な血液検査で経過を観察することが重要です。
良好にコントロールできれば長期的に元気に生活できることも十分期待できます。

骨髄穿刺を行っているときの写真です。
獣医師 楠
