ならしの動物医療センター

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report 症例報告

直腸腫瘤

2026.02.19

今回の症例は直腸に腫瘤を認めた症例です。
1ヵ月以上前からの排便時のしぶり症状、徐々に血便などの症状も出てきたため、診察にご来院されました。
食欲や元気などの他の一般状態は問題なし。直腸検査にて、触診で腫瘤を疑う所見を認めた為、精査を行う事になりました。

ワンちゃんの直腸にできる腫瘤についていくつかご説明します。
〇直腸腺腫(良性)もっとも多く見られる良性のポリープです。
特徴としては粘膜からキノコのように突き出しており、単発のこともあれば複数できることもあります。
良性の腫瘤ですが、経過とともに腫瘤が増大し排便困難や血便などの症状が出ることがあります。
〇直腸腺癌(悪性)直腸にできる悪性腫瘤です。
特徴としては周囲の組織に根を張るように浸潤し、リンパ節や肝臓、肺などに転移する可能性があります。
良性の腺腫と見た目だけで区別するのは難しく、病理検査が必要です。
〇直腸ポリープ状腺腫性増殖は慢性的な炎症などが原因で粘膜が盛り上がったものを示します。
その他の腫瘍には、平滑筋腫や平滑筋肉腫、リンパ腫、肥満細胞腫などが発生することもあります。

症状としては直腸に腫瘤があると、便の通り道が狭くなったり、粘膜が傷ついたりするため、以下のようなサインが現れます。
排便時のしぶり症状:何度も排便のポーズをとるが、なかなか出ない。
血便・粘血便: 便の表面に新鮮な血液やゼリー状の粘液が付着する。
便の変形: 便が細くなったり、平べったくなったりする。
お尻を気にする: お尻を地面にこすりつけたり、舐めたりする。

直腸腫瘤の診断には、直腸検査は不可欠です。その他には超音波検査や内視鏡検査(大腸カメラ)を行い、組織の一部を採取して「良性か悪性か」を調べます。
治療は発生した腫瘤がどういう腫瘤なのか、直腸のどのあたりに発生しどのくらいの大きさなのか、悪性腫瘤の場合転移をしていないのかなどが重要になってきます。
外科切除を行う際は、肛門からアプローチして切除する方法や、お腹を開けて切除する方法があります。
小さな良性腫瘤やポリープの場合、内視鏡を使って焼き切る方法もあります。
リンパ腫や転移してしまった腺癌などの場合は抗がん剤治療を行うことがあります。

早期に発見して切除すれば完治が期待できるケースもあります。しかし、悪性の場合は進行が早いため、「たかがポリープ」と楽観視せず、早めの受診が鍵となります。御家族の方が普段気をつけることとしては、排便の様子(形・色・回数)を毎日チェックする習慣をつけましょう。

今回の症例も大腸カメラを行い、病理検査を実施するため、生検を実施しました。
下記の画像がその際の内視鏡画像です。検査の結果は腺癌でした。

獣医師 田中