悪性末梢神経鞘腫瘍
2025.10.13
本日の症例は頭部の皮下に腫瘤があり、半年で徐々に大きくなりご紹介されて来院された症例です。
半年程前に頭部に皮下腫瘤がみつかり、徐々に大きくなってきたとの事でかかりつけにて細胞診(FNA)を実施したとこころ、非上皮系悪性腫瘍の可能性と診断がつき、当院にご紹介で来院されました。
一般状態は問題ありませんでしたが、皮下腫瘤は大きく、完全摘出が困難にみえる大きさでした。
まず血液検査やレントゲン検査、超音波検査を実施し全身精査を行いましたが、転移を疑う所見もなく、リンパ節の腫れなどもありませんでした。摘出手術を検討し、まずは皮下腫瘤が内部のどこまで浸潤しているのか術式の検討の為CT検査を実施し、同時に皮下腫瘤の中央部でパンチ生検を実施致しました。
生検で採取した組織で病理検査を実施し、悪性末梢神経鞘腫瘍と診断。比較的転移は少ないですが、手術で完全摘出できなかった場合、再発する可能性の高い腫瘍です。
飼い主様とご相談の上、完全な摘出を目指す場合、眼球摘出や右耳も同時に摘出しなければ難しく、QOLの低下を招く可能性が高い為、QOLは低下させずに出来る限り摘出できるよう手術を行う事にしました。
←右頭部で腫れているのが腫瘍です。
←生検した場所が分かるよう皮膚を残し、皮下と腫瘍を剥離していきます。
←可能な限り腫瘍は摘出。
←閉鎖式ドレーンをいれて、縫合。
手術は問題なく終了しましたが、右眼窩部の尾側がマージンがあやしいです。
術後の放射線などを考慮し、飼い主様とご相談していく予定です。
獣医師 田中
