ならしの動物医療センター

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report 症例報告

膀胱移行上皮癌

2025.02.26

本日の症例は血尿で診察に御来院されたワンちゃんです。

以前から血尿や頻尿の症状を認め、食欲元気などの一般状態は問題なし。尿検査では潜血反応を認め、細菌感染はなし。腹部超音波検査で膀胱の一部の粘膜が腫れており、一部白く石灰化を伴っておりました。このような場合、炎症で腫れたりすることもありますが、腫瘍の可能性も考えられるため、御家族の方とご相談し、早急に検査を実施することになりました。

まずは尿道からカテーテルを通し、カテーテルの先端に穴があります。その穴の部分に腫瘍を疑う場所がくるようにして注射器で吸引を行い出来るだけそこの細胞を採取します。これをカテーテルバイオプシーと言います。

今回採取した細胞および尿を用いて、変異したBRAF遺伝子検査というものも実施しました。もともとこの変異したBRAF遺伝子というものは正常犬では検出されず、移行上皮癌や前立腺癌のときに確認できる遺伝子になります。

細胞診検査では膀胱移行上皮癌、変異したBRAF遺伝子も検出されたため、全身精査を実施しました。

レントゲン検査で転移を疑う所見はなく、腹部超音波検査でもリンパ節の腫れや転移を疑う所見は認められませんでした。

こちらがその超音波写真になります。

 

真ん中に白く映っているのが腫瘍です。

その後、CT検査を行い、詳しい全身精査を実施しました。

この黄色い丸で囲われているところが膀胱内の腫瘍部分になります。

現在内科治療を行い、経過は良く徐々に腫瘍は小さくなってきております。

治療の事に関しては、改めて記載させていただきます。

獣医師 田中