習志野動物医療センター りょう動物病院

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report 症例報告

肥満細胞腫(肢端)

2023.07.28

今回は犬の肥満細胞腫についてです。
犬の肥満細胞腫は、犬の皮膚腫瘍の中で、最も発生頻度の高い腫瘍です。

低悪性度・高悪性度・グレード1~3などいくつかの分類はありますが、基本的には悪性腫瘍であり治療しなければ合併症や生活の質の低下を招き、時に致死的となります。

今回の症例は前肢端に以前からある皮下腫瘤が大きくなったとの事で来院され、細胞診検査(FNA検査)を実施しました。

細胞診では高悪性度肥満細胞腫と診断され、精密検査により今後の治療方針を相談することになりました。
血液検査、血液塗抹検査、レントゲン検査、腹部超音波検査などを実施し、皮膚の肥満細胞腫以外に、転移を疑うような所見はありませんでした。

結果から外科的に切除することを第一とし、全身のCT検査及び肥満細胞腫の摘出手術を実施しました。

CTにて支配リンパ節である浅頚リンパ節の腫大が認められたため、同時にリンパ節の切除も実施しました。

また、切除にあたっては前肢端であったため本来必要である大幅な周囲組織の切除をしてしまうと、術創の閉鎖が困難であるため、腫瘍辺縁部からやや外側を切除しています。(最も根治的な切除は断脚となってしまいますが…)

また、底部の腱や筋肉への浸潤も疑われ、これらの組織を温存する場合は完全切除が困難であることが手術中に予測されました。

よって、なるべく前肢の昨日も温存し、最大限切除したのちに、術後放射線や抗がん剤による化学療法を計画しました。

切除後は縫合による閉鎖が困難であるためメッシュ状に切開して張力を減らし可能な範囲で縫合しています。

今後皮膚移植なども検討中ですが現在は術創の治癒を待ちながら、術後補助療法を計画中です。

切除後